第20章 二人目の主人公編 『到着』
『ごめんね……』
ーーー謝るくらいなら考え直してよ。
『私、本当にあの人の事が……』
ーーーうるさいうるさい。聞きたくない。
『友達や家族の皆と離れるのは辛いけど……』
ーーー嫌だよ………
『あの時代で生きるって決めたの』
ーーー行かないで!!
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「・・・・・ーーー!!!」
漆黒の瞳を大きく見開きーーー
褥から飛び起きた蓮は、激しく鼓動する胸元を押さえ
荒い呼吸をしながら………夢と現実の挾間で未だ揺れていた。
・・・・・
寝汗がこめかみからツゥ………と、一筋流れ落ちるーーー。
言葉を失っていると、聞き慣れた声が耳に入り私は完全に意識を取り戻した。
「やっと起きたぁ〜。蓮ちゃん、大丈夫?」
褥の傍らに座っていたのはーーー
肩の辺りまである、ウエーブがかった金に近い色の髪とーーーつぶらな目でこちらをジッと伺い、甲高い声音でそう問い掛ける小柄な女。
桜子の姉であり、私の友人でもあるーーー
「小梅…………」
そうだ………
確か桜子と小梅と三人で本能寺跡に行って、
石碑のところにいた姉貴とあの眼鏡の男ーーー“猿飛佐助”を見つけて…………
その後は……
その後は…………
「ここ……どこ………?」
周囲を見渡すと、
室内の造りや家具、小物の様子からして
明らかに和室なのだが………
「それがねぇ、なんと安土城〜!ね、ね、驚いた?」
八重歯を見せニコニコと私を覗き込む小梅。…………
・・・・・
「はぁぁぁ!?」