第17章 ユー・セイド・“グッド”
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どうしよう、どうしよう………。
“私達だけで、お出掛けしよう”
姉上がそう話してきたんだ。
大人がついてないと出掛けちゃいけない、って言われてるから、
やめよう、って止めなきゃならなかったんだけど……
姉上は強いし弁丸は弱いから勝てっこないよ。
だから……一緒になって母上を閉じ込めちゃったんだ。……
大好きな母上……。弁丸のことを嫌いになったらどうしよう………。
そんなのいやだ。
なんとかしなくちゃ………。
上田城から程近い山林を意気揚々と散策する双子のすぐ後ろをとぼとぼと歩く弁丸は、この状況に不安感を抱きつつ思い切って口を開いた。
「あ、姉上……」
「「なにー?」」
「やっぱりこんなのよくないよ……戻ってごめんなさいしなきゃ……」
「「だめ!」」
「でも……今頃母上も父上も怒って……」
「「うるさいなぁっ。弱虫弁丸!そんなに嫌なら一人で帰ればっ!」」
……………………
周囲には、鬱蒼と茂った草木のざわめきや名も分からぬ鳥の鳴き声。
まだ日は明るいが、たった一人ぼっちで帰路につくにはあまりにも寂しすぎる道のりだった。
…………怖い。
おばけが出るんじゃないかな…。
弁丸は弱虫だから、きっとおばけにも負けちゃう。
弱虫だから……
弱虫だから…………
ぐっ、と拳を握り締めーーー弁丸は仕方無く姉達に従いついていく他、無かった。