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【イケメン戦国】戦国舞花録

第17章 ユー・セイド・“グッド”





難を逃れた私と幸は目を合わせ、二人でほっと胸を撫で下ろした。


ーーー危ない危ない。
今後は危機管理を徹底しないと。
それこそ閨での絡みなんて目撃してしまったら子ども達はトラウマになりかねない。
襖に鈴でも取り付けるべきか………


対策を練り唸っていると、
娘が一層けたたましく喚き、耳の鼓膜が激しく振動した。

どうやらどこかへ遊びに連れて行けと父親にせがんでいるようだ。


「「やだ!行くのー!」」

「だーかーらー、この障子貼り終わってから連れてってやるっつってんだろ」

「「やだ!今すぐ行きたい!」」

「我が儘言うな。いい加減にしねーと怒るぞ」


強めの口調で諭され、俯いて頬を膨らます楓と紅葉。
口を尖らせて不満げな面持ちだが、
やはり彼が叱ると効くのか、ピタリと騒音が止んだ。


「「………はーい」」

「よし。早めに終わらせるから待っとけよ。」


再び作業を続行する幸の横でむくれ顔でいじけている二人。が、
はた、と何かひらめいたように弁丸の手を引き
座敷の隅で三人輪になって小声で話し込んでいた。

一体どうしたのかと近付こうとすると、
くるりと振り返った子ども達が私にべったりと寄り添ってきた。


「「母上〜、父上の紙ぺたぺたが終わるまで一緒に遊んで?」」


大きな瞳を煌めかせる双子。
一転して、素直に待つ事に決めた娘達の様子に疑問符が浮かんだが……
多少は成長したのかもな、と解釈して頭を撫でてあげた。


「いいよ!なにして遊ぼうか」

「「んーとね、お人形さん遊び!」」

「珍しい〜。じゃ、行こっか」

「「うん!」」


和気あいあいと、玩具が仕舞ってある部屋まで行こうと三人を連れて廊下へ出る。






ーーーこの時私は気付いていなかった。

困惑して覚束無い足取りの弁丸にも、

双子の企みにも………。



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