第17章 ユー・セイド・“グッド”
「ちょ、ちょっと待って……」
「待たねー」
私の訴えを聞き入れず幸が足の指を器用に使って襖を開ける。
ずんずんと中を進んで行き、蚊帳をめくり褥の上に私を降ろすと
狙いを定めるかのようにじりじりと膝を敷布に擦り迫って来た。
「ね……待って?私これから、んっ………」
後頭部を鷲掴まれ、黙れと言わんばかりの強引なキスをされ息が止まりそうになる。
舌を侵入させようとする幸の厚い胸板を両手で押し返し、口を離した。
「あのね、これからやらなきゃならない事いっぱいあるから……」
「んなもんいーから」
「よくないよ!それにまだお昼だよ?」
「関係ねーだろ」
話は平行線を辿る一方で。
抵抗するも、敵う筈も無く………
衿を肩までずり降ろされて、たるんだ着物の合わせの下から胸を表に出され
頂の部分に舌が這わされた。
「だ……めだってばぁ……」
「ふーん……」
ーーー駄目、ペースに乗せられちゃ……。
頭ではそう思うのに、硬くなった胸の頂を舌先で転がされる気持ち良さで段々と全身から力が抜けてボーッとしてくる。
唯一自由が利くのは辿々しい声だけだ。
「ほん……とに、も、だめ……」
「…あっそ」
刹那、裾に割って入った手の指が蜜口を埋め
小さく水音が鳴った
「はぁぁ……っ!」
「これでもまだ懲りずに駄目とか抜かすのか?」
喉を仰向けて快感に震える私に、意地悪い笑みで尋ねてくる幸。
知り尽くされている弱点を刺激され、
理性が吹き飛びそうになる。
ああ、もう・・・・・
堪え切れなくなっていると、空いていた片手で肩を抱き寄せられ
紅潮した頬に温かい唇が触れた。
「あいつ等が寝てる間くらい、桜子を一人占めしてーんだよ」
頬から移動した唇が、私のそれに重なる。…………
ーーーあなたは狡い。
その所作と
その表情と
その言葉で
いつも私を翻弄する。
深く深く沈んでいく。
浮上できない程に・・・・・。
そっと彼の背中に両手でしがみつくと、
緩やかに褥へ押し倒されていった。…………ーーー。