第17章 ユー・セイド・“グッド”
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「………気持ち良さそーに寝てんな」
「うん。ふふっ」
日当たりの良い一室にて並んで眠る子ども達の寝顔を見届けた私と幸は、ほんの僅かに開けていた襖をパタン、と閉めた。
午前中から遊び回っていたせいか、三人が疲れてウトウトしていたので急遽布団を敷いて寝かしつけたのだ。
「ははっ、台風一過。ほんとお前みてーに荒々しいな、あいつ等。」
「う…うるさいなぁっ。まだ私の方が奥ゆかしさがあるもん」
「奥ゆかしさぁ!?一生無縁だろが。寝言は寝て言え」
ぷぷ、と嘲笑う幸が憎たらしくて
小突いてやろうとしたが、手首を掴まれ引き寄せられ……
尻から掬うように身体を持ち上げられた。
突然の事に驚いて、落ちないように彼の首に腕を回す。
「うわ、重っ!おめー太ったんじゃねーのか」
「はぁ!?太ってないし!」
失礼な!むしろ痩せたよ!常日頃育児に追われてるし家事だってやってるし、毎日ドタバタだもん。
あ、そうだ。
あの子達が昼寝してる間にやる事やっちゃわなきゃ。
えっと今日は……洗濯は朝早くに終わらせちゃったし、湯殿も洗ったし……
この後はお直しの途中だった着物を仕上げて
障子の紙を貼り替えて
部屋の掃除をして……
あー、でもその間に子どもが起きてくるから相手もしてあげないと。
日が暮れる前に夕餉の支度もしなくちゃ。
あれやこれやと一日のスケジュールを頭の中で整理していると、
抱きかかえられたまま気付かぬうちに閨の入口の前まで連れてこられていて狼狽えた。