第15章 フレンドシップ・リレーション
「桜子、ちょっと来い」
足音が近くなってきた、と思った矢先、
俺の部屋に我が物顔で勝手に乗り込んで来た幸が桜子さんの手首を取った。
「行っといでよ」
そう促すと、こちらを一瞥して頷いた彼女は彼に導かれ廊下へと出て行く。
ーーーほらね。
あの事件以降、仲が深まったって述べた理由のひとつがこれ。
喧嘩しても、その日のうちに必ずどちらかから謝って関係が修復出来るようになったんだ。
今日は幸からか。
気になるのでこっそり忍び足で尾行して壁際から様子を伺ってみたらーーー
……………あ。
「……、……だ。口、寄越せ」
「ん……」
見ると、丁度
桜子さんが踵を上げて幸に唇を寄せているとこだった。
どうやら俺が辿り着く前に早くも話は済んで解決していたようだ。
こんな通路の一角で抱き合って口付けなんかしちゃって。
世話が焼けるよ、ほんと。
未だ吹き荒ぶ雪は外で猛威を振るい唸っている。
でも、
俺の心は晴れ晴れしく、とても穏やかになっていたんだ。
ーーー
自室に戻り、平然を装い茶を飲んでいると
すっかり仲直りした二人がはにかみながら襖から顔を出した。
「わりぃな、佐助」
「構わないよ。いつもの事だし」
「……。てめぇ一言多いな。ま、そーいう訳でこいつ連れてくわ」
幸が桜子さんの肩を抱いて歩を踏み出そうとした。が………