第15章 フレンドシップ・リレーション
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原因は、本当に本当に本っ当ーに些細なものだった。
「………でね、そしたら幸がさぁ、“そんなもん細かく覚えてる訳ねーだろ。そもそも記念にする意味が分かんねぇし下らない事で怒ってんじゃねぇ”だって!非道くない?」
「………そ、そうだね………」
ーーー俺の自室にて
クオリティの高い幸の物真似を披露して話し続ける桜子さんに、呆気に取られながらも相槌を打っていた。
事の発端はこうだ。
湯に浸かり仲良く談笑している際に何気なく彼女が“付き合い始めた記念日”に何かお祝いでもしようか、と提案したところ
『いつだっけ?覚えてねー』
と返された事が引き金となり
どうして覚えてないんだ、と怒り気味に何度も問いただしていると痺れを切らせた幸が先刻の台詞を吐いたらしい。
そしてその後も議論が白熱して掴み合いにまで発展したというのだ。
………素っ裸で二人共なにやってんだか。
「あ〜マジでムカつく!ムカつくムカつくっっ」
桜子さんはそう怒りに任せて煎餅を激しく咀嚼しズズッ、と茶を飲み干した。
あっ、あんなに畳に食べこぼして……
後で掃除しなきゃな。
………しっかし…まぁ、男の意見としては幸の気持ちが大いに解る。
付き合い始めた日、なんて正直そこまで重要視しないからね。
記念日として祝いたがる女の子って多いけど彼女も例に漏れず、か。
こういうとこは、普通の乙女っぽいんだよなぁ。
感慨深くじっと見つめていると、
憤慨していた桜子さんがふいに長い睫毛を伏せて、噛じっていた煎餅を皿に戻した