第14章 マイ・ガール ※R-18
そんな性分の奴もいるーーーか………。
もしかして、私はもう幸に飽きられているのかもしれない。…………一連の行動から、薄々そう感じてた。
この時代に馴染んでない私を物珍しさから好きになったはいいものの、何回もやってるうちに飽きちゃったーーーなんて、仮のストーリーを妄想してみたり。
それとも本気で私の事、嫌いになったとか?
私、なんかしたっけ?……………
………話がある、って
まさか別れ話ーーーとか………
だったら話したくない。怖い。
悶々としていると、目の前に白い毛の塊が現れた。
「わっ!?」
謙信様がずい、といきなり手渡してきたそれ。
沢山いる中の一羽であろう、兎だった。
「今しがた草の陰から覗いていた梅を呼び寄せた」
「この子、梅かぁ〜、見分け付かなかったぁ。可愛い……」
鼻をヒクヒクと動かせてつぶらな瞳が輝いている。
ふわふわの綿飴みたいだ。
抱いてる手から伝わる体温があったかい。
「………しかし、“飽きる”か……。飽きる程共に生きてみたかったものだな………」
ボソリとそう呟いた謙信様はなんだか悲しそうだった。前にも一度こんな表情を見た事がある。………過去に何かあったのかもしれない。
理由は聞きずらい雰囲気だし、気の利いた言葉も浮かんでこない。うーん………
「えい」
ちゅ。………
癒されるかなぁ?、と何気なく梅の口を謙信様の唇にくっつけてやった。
「………何の真似だ」
「あはっ、微妙にびっくりしてる!謙信様可愛い〜」
「可愛い………だと………?」
「うん!可愛い可愛い可〜愛い」
「それ以上言うと斬……」
「やだぁ恐〜い!梅、助けて〜」
恐がる振りをして梅を盾にすると、謙信様は口籠りしかめ面になった。それがまた可愛くてケタケタ笑ってしまった。軍神でも兎には形無しなんだ。
それから、
恥ずかしさでムッとした謙信様と梅の奪い合いが始まった。
お互い意地になって梅を狙うのが滑稽で笑いが止まらない。
さっきまで荒んでたから、和むなぁ………
癒やされたのは私の方かも。と、思った