第14章 マイ・ガール ※R-18
「……佐助、最近幸から私の事について何か聞いてる?」
「いや、なにも………。でも、幸の奴ここんとこ変でさ」
「………」
………聞いてないんだ。
佐助にすら何も言わないなんて。
より一層不安が増す。
俯いていると、
何かあったら報せるから、と私の肩をポンと手で優しく叩いた。
気遣ってくれている佐助に御礼をして別れ、私は自室で寝衣に着替え幸が湯殿から出てくるまで待っていた。
頃合いを見計らって彼の部屋へ行くと、既に褥で横になりこちらに背を向けていて
なんだか哀しかった
「ゆーきっ、寝るの早いよー」
明るく振る舞おうと掛け布の上から被さるように抱き付く。が、お決まりの一言が私の心を締め付けた
「疲れてんだよ。お前も寝ろ」
こっちを見もしない。目は閉じたままだ。
「………ねぇ、最近何かあった?」
「………別になんも無ぇけど」
「嘘………だって態度変だもん」
「なんも無ぇって」
「ねぇ、私のこと………」
「しつけーんだよ!なにも無いっつってんだろ!!」
勢い良く飛び起きて怒鳴る彼を前にして、ビクッと全身が跳ねる。
狼狽えて黙っている私の様子に
幸はハッと眼を見開くと、
バツが悪そうに顔をそっぽへやった。
「………ごめん。………」
………………………
「ううん………大丈夫………私の方こそごめんね。寝よ?」
震えながら必死に笑顔を作って隣に行き、敷布に横たわると瞼を閉じた。
少しの間幸は座った状態で微動だにしなかったがそのうちゆっくりと上体を倒し私に布団を掛けた。
私は反対側に身体を反転させ閉じた目尻から涙がこぼれるのを悟られないようにしていた
奥歯を噛んで嗚咽を殺しギュッと寝衣の合わせを握る。
ーーー夜が更けゆく闇の中、
私は、一睡も出来なかった