第14章 マイ・ガール ※R-18
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ーーー最近
幸が、変だ。
ある日の夕餉時、隣で黙々と料理を口に運ぶ幸村を桜子は訝しげに横目で見ていた。
ここ十日ほど、幸と私は夜の営みが無い生活を送っている。
ここまで日が空いた事は未だかつて無い。
同じ褥で寝ているが、全く手を出してこないどころかキスすらしてない。
私が抱き付いてアピールしても「疲れてるから」の一点張りで引き剥がされてしまう。
よっぽど体調悪いのかと心配していたが尋ねる度に何度も否定された。
なら何故求めてこないのか。
以前はあんなにも夢中になってた癖に。
………おかしい。
食事を早々に済ませた幸が席を立って障子の外へ出て行ったので、まだ食べかけだった器に自分の箸を置き彼の後を急いで追った。
「待って!」
「どうした……?」
「明日、政務昼過ぎに終わるよね?それからどこかに出掛けよ?」
「………他の奴等と鍛錬しなきゃなんねぇから、また今度、な」
「………そっか」
そっか。政務や評定ばっかりじゃないもんね。それも必要な努めだもんね………
私が了解すると幸は素っ気なく「じゃあ後でな」と、湯殿へ向かっていった。
その後ろ姿に言いようのない不安がよぎる。
口数も、会話も減った。
本当に疲れてるせい?
忙しいのは分かる。
でも付き合い出してからこんなにギクシャクした事ないじゃない。
なにより私を見る瞳が違う
ーーーもしかして、私はもう………
「桜子さん?棒立ちしてどうかしたの?」
振り返ると夕餉を終えた佐助が広間から出てきたところだった。
佐助なら、なにか知ってるかな………