第14章 マイ・ガール ※R-18
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「ーーー十三の時………駕籠舁きの、善吉さんと。」
ぽっ、と両頬を染めた一人の女中がモジモジ身をくねらせて言うと、周りの女達が歓声を上げる。
次々と質問が飛び交うなか、私も調子づき身を乗り出して尋ねた。
「十三とか早っ!善吉さんって町で駕籠担いでるあの屈強な人だよね!?場所は?」
「ふふ、善吉さんが木陰でお休みしている間に……そこで……」
「初っ端から外かよ!すげーっ」
ーーー女同士、酒が入れば最初は世間話から始まり
酔いが進むにつれ日頃の愚痴等でストレスを発散させるのだが……なによりも一番盛り上がるのが猥談なのだ。
奥ゆかしい女達もこういう場では非常に明け透けになり、色めき立っていた。
そして現在、
巾着の中に大量の白い碁石と数個の黒い碁石を入れ混ぜ、黒い碁石を引いた者が、異性との初事を暴露する…………という戯れに興じている最中だ。
(このノリ……久し振り……っ!)
同じ世代の女の子達と輪になり酒を呑みながらわいわいお喋りする……、なんて、現代以来だ。
楽しくてつい浮かれてしまう。
上機嫌で肴の枝豆をかじっていると、
口を絞った巾着が私の元に差し出された。
「さぁ、お次は桜子様の番ですよ〜!」
ーーー来た!とうとう順番が回って来た。
「是非黒を!」
「やーだね。絶対に白を引いてみせっから!見てろよ〜」
女中が目を瞑る私の手を掴み、開いた巾着の中へ入れる。
ジャラジャラと探るように碁石を弄る合間、周りからは煽る掛け声と手拍子を打つ音が聞こえてきた。
「「「引ーけっ、引ーけっ」」」