第13章 リーサル・ウェポン
ふざけ半分の問い掛けに一瞬で汗が吹き出る。
自分にとって今一番敏感な問題だから尚更だ。
「どっ……!?どこまで、って………」
「隠さなくたっていいだろう。どうなんだ?もうそういう仲になったのか?」
「…………」
視線を落とし首を振ると、畳の網目を意味も無く数えながら桜子へ抱く想いについて耽っていた。
桜子とは……あの祭の日以降、一緒に出掛けたり人目を忍んで軽く口付けする程度の関係だ。
それだけでも幸せ、なんだけど。
ーーー本当は次の段階に進みたい。
近くに居るだけで……触れられるだけで……
抑えが効かなくなりそうだ。
この手で直接肌を抱き締めたらどんな反応をしてどんな表情をするんだろうーーーそう考えれば考える程身体の中心が熱くなる。
だが、
大事な女だからこそ
慎重にいきたい気持ちもある。
毎日が欲望と理性の葛藤だ。
「まぁ……案じる事は無い。そのうちなるようになるさ」
信玄様が溜め息を吐く俺の肩に腕を回して励ますように笑った。
「でもあいつ、そーいう事にあんま興味無さそうなんだよなぁ……話の内容も色気皆無だし」
「分かってないなぁ、幸。ああいう子こそ褥では乱れに乱れるぞ」
「乱れっ……!?」
また想像しそうになり赤面を上げると、不敵にニヤリとした信玄様の後方から
わいわいと賑やかな桜子が謙信様と佐助の間に入りこちらに歩いて来るのが視界に映った。