第12章 ネクスト・ドア ※R-18
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「幸、大丈夫?」
「………なにが」
「顔が死んでる」
「……………」
八重と会う約束をしていた日の朝餉時、佐助が心配そうに尋ねてきた。
信玄様も謙信様もとうに食べ終え広間には俺と佐助しか居なかったので、遠慮無く八重との現状を打ち明けた。
「………それは宜しくないかもね」
「やっぱそうだよな………」
「ちゃんとはっきり言った方が良いよ、八重さんの為にも」
「………分かってる」
分かってる。
分かってるんだけども…………
「真田様ー!」
家まで迎えに行くと、頬を染め八重が玄関から急いで出てきた。そんなに俺に会いたいんだろうか。
良心が痛んで草鞋が鉛のように重い
「今日はどこへ連れて行って下さるの?」
「えっと………そーだなぁ………」
……………ちゃんと言わなきゃならないと分かってるんだけど、この笑顔を目の当たりにするとついつい決意がグラついてーーー
ずるずると関係が続いていた……………
ちなみに何を言わなきゃならないかというと
俺は八重を愛してない、という事だ。