第12章 ネクスト・ドア ※R-18
「……………」
「……………」
城下町を歩く俺の後ろには、八重が静かな足取りで付いてきている。
今まで恋仲になった女も皆そうだった。
奥ゆかしさ、とやらが基本だ。
それはそれでいいんだけど…………
「八重、何か食うか?」
「はい!」
「何が良い?」
「真田様が選ぶものならなんでも」
「……あ、そ。」
ずらりと建ち並ぶ店を見渡す。
美味そうなものだらけだが、やはり一押しの甘味処へ歩が進む。
「志乃」
「あら、幸村様!いらっしゃい」
見知りの看板娘である志乃が盆を手に寄ってくると、俺の後ろに居る八重に気が付きピタリと動きを止めた
「………八重さん」
「こんにちは、志乃さん」
「今日も幸村様にくっ付いて頑張ってるのね。感心するわ」
「ふふ、その頑張った成果が無事実って今一緒にいるんですよ」
「…………」
二人共笑顔だが何故だか妙な恐ろしさが漂っているのは気のせいだろうか。
謎の寒気を感じながらも長椅子に腰を下ろし、団子と茶を注文した。
何気無い話をしながら平らげた後、八重に
他に食べたい物は無いか、どこか行きたい所は無いか、と尋ねたが「真田様のお任せで」としか答えなかった。
あまり主張しない女のようだ。それとも気を遣っているのか。
結局適当にその辺をぶらぶらして時間を潰し、夕方になると彼女を家まで送り届けその日は終わった。
決して楽しくなかった訳じゃない。
でもなんだか、どっと疲れていた