第12章 ネクスト・ドア ※R-18
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それから八重と数回会い出掛けているなかで、
改めて思った事がある。
大概、女の話っつーのはつまらない。
「で?」と突っ込みたくなる内容ばかりだ。
論点もいまいち定まってない。
けどそんなのは今更分かりきってるし深くは考えず、
今日も当たり障りの無い返事や相槌を打っていた
「……………って、友人が言ってたんです。私、もうびっくりしちゃって〜」
「へー。そーなんか。そらびっくりだなー」
河原に座り、ただただ水面の揺らめきを目に映しながら話に付き合っていると暫くして隣にいる八重が風呂敷を開き「どうぞ」と中身を寄越してきた。
竹皮に包まれた握り飯、箱に詰められた煮物と糠漬けが目の前に現れた。
「私が作ってきたんです。料理には自信あるんですよ。どうぞ召し上がって下さい」
「……おー。ありがとな」
煮物を口に運んでみた。
…………美味い。
握り飯も塩加減が絶妙だ。
糠漬けも最高。自ら毎日糠床を回しているらしい。
八重はーーー
器量はそこそこ良い。
上品な立ち振る舞いで出しゃばらず、男を立てる。
料理の腕前も見事。
女としては合格だ。
「ごちそーさん。すっげぇ旨かった」
「ふふ……お口に合って良かったわ」
空になった容器を嬉しそうに片付けると
再び女独特の脈絡の無い話が始まったのだが、食欲が満たされた俺は機嫌良く聞いていた。
程なくして、
次はどこに連れて行けばいいものか……と、思案していると肩に八重がそっと頭を乗せてきた。
「どこか………二人きりになれる所に行きたいわ………」
その呟きに、また本能の音が五月蝿く鳴った。
実際、今も二人きりなんだけども
違う意味で言ってるのは理解している。
恋仲の男女が“二人きりになれる所”でやる事といえばひとつだーーー