第10章 『永劫』
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その後…………
牢に囚われ激しい尋問に耐え兼ねた装束兵によって組織の全貌が明らかになり各地の巣窟は徹底的に調べあげ封鎖し、残党等は処罰された。人々に悪行を働いてきた盗賊団はとうとう完全なる壊滅に至りーーー
それらに一部加担した志乃は桜子の温情により刑を免れた。
そうして波乱の秋は過ぎ、
厳しい冬も過ぎていき………………
冬眠から目覚めた動物達が巣穴から顔を出し
青々と新緑が芽吹き
瑞々しい花々が景色を麗らかに色付け
“始まり”を象徴する春の訪れを実感する、そんなある日の朝
「はい、これで出来上がりです」
鏡台の前に座る桜子の唇に紅を差し終えた佳世は珍しくにこやかだ。
「有難う」
閉じていた目を開けた私は鏡に映る自分を清々たる面持ちで見据えた
白い着物に
白い打掛
帯に懐剣、懐には筥迫と末広をそれぞれ挟み
髪を文金高島田に結い上げた頭には
仕上げに白い綿帽子が被せられ
全身が純白に包まれた、艶やかな白無垢姿。
これから人生最大の晴れの舞台に挑むのだと思うと気持ちが引き締まり、普段だらけきった背筋がしゃんとする。
四月・卯月
大安吉日。
私は、真田幸村の元へお嫁に行きます。