第10章 『永劫』
小刻みに浅い呼吸を繰り返し褥にダラリと倒れた桜子の脚を更に大きく広げ間に割って入る。
「桜子……」
今後自分以外は侵入出来ないーーーいや、させない。昨日贈ろうとしたあの花のような色を帯びた蜜壷に、己の滾りをゆるりと挿した
「ゆ、きぃ……っ」
待ち望んでいたものが体内を温め喜悦に満ち足りた私の上に幸が覆い被さり
乾ききってない汚れた髪に指を差し入れ、それさえも愛おしそうに梳きながら微笑むと緩やかな律動が始まり……
至福を感じずにはいられなかったーーー。
いつも荒っぽいはずの彼が今日ばかりは壊れ物を扱うかのように優しく私を抱く。
互いに腕を後ろに回しゆっくり、ゆっくりと揺れる中、しきりに耳元で愛の言葉を囁かれ身も心も蕩けそうになる。
きっと死ぬまで忘れない。この汗の匂いも、ぬくもりも………
障子からは、橙色の明かりが差し込み部屋中を照らしている。
畳に落ちている二つの影はゆらゆら揺らめいていつまでも離れる事は無く………
長い長い一日の終わりを告げる夕陽が、地平線に消えていった