第10章 『永劫』
幸村は唇を首筋に移すと、その肌に残る他の男によって付けられた赤い跡………その上から重ねて印を刻んでいった
まるで自分の存在を上書きするかのようにーーー。
「………」
桜子の手首や足首にある縄の跡にも目が行く。
相当藻掻いたのだろう。痛々しかった
ーーーいっときでも手放してしまったーーー
そのせいだと思うと後悔で一杯になり
傷だらけの白く細い手首に口付けを落とした……
「そんな顔、しないで」
桜子は憂いを含んだ幸村の顔にそっと触れると、片側の手を褌に伸ばしするすると解いた
「回り道したかもしれないけど……こうやって二人きりで過ごせてる事が、幸せなの。だからそんな顔しないで……早く、抱き締めて」
一糸纏わぬ、生まれたままの姿で向き合う。
恋の甘さも苦さも味わった。
だが
今や二人を隔てるものはーーー何も、無い。
視線が絡み…………
二人は同時に相手を掻き抱き、再び唇を求めたーーー。
「あ………」
幸村が舌を口から胸元へと辿らせていき膨らみの先端を啄むと、ぶるりと身震いさせた桜子から小さく声がこぼれた。
柔らかい感触を掌でひとしきり堪能し
つつ………、と舌先を滑らせ下降していく。
座っている状態の桜子は徐々に脚を開き……
幸村の舌はみぞおちを通り……
臍を通り……
十二分に湿った窪みを捉えた
吐息混じりの艷やかな啼き声を耳にしながら
ぬらりぬらりと、慈しむように舐っていき……
やがて、高い嬌声を挙げた桜子は背を反らせ快感の頂点に達したーーー。