第4章 『旋風』
「あ~……まだボーッとする……」
もう少しで朝餉の時間だからと叩き起こされ、顔と歯を洗い終え自室に戻った桜子は、未だ続く前日の酒の余韻のせいで額を押さえていた。
ぐぅ~………
二日酔だが腹は減る。
もともと朝食はしっかり摂る生活だったので体内時計も騒いでいるのだろう。
「よしっ、食べに行くか!」
「お待ち下さい」
背伸びをしながら部屋から一歩出たすぐそこに佳世が立っていたので息が止まりそうなくらい驚いた。
「かっ、佳世さん、まだいたの……」
「桜子さま。そのような格好で食事をするおつもりですか?今すぐ支度をお願いします」
そう睨んだ視線の先にあるのは、前髪をちょんまげに結った乱れた襦袢姿。
(うわ~……またかよ。しかも昨日と違って今はただ朝ごはん食べるだけなのに。)
だいたいさっき、昨夜から着たままだった着物を脱ぐだけでも四苦八苦したというのに。
帯の構造が理解出来ずほどけなかったので、ムリヤリ合わせを引っ張って脱皮のように脱いだ。
また着させられるのかと思うと辟易する。