• テキストサイズ

【イケメン戦国】戦国舞花録

第3章 『面影』


「あ。」

ある事を思い出した桜子は褥から上体を起こし、ポーチの中からシルバーの指輪を取り出すと右手薬指にはめた。

「いけね、忘れてた」

幸と勝負する前に外して、それっきりだった。
そっと反対の手で触れる。

『左の指は取っとけ。将来もっと良いもん買ってやる』

(…………………………)

スマホのメニューを開き、アルバムの写真フォルダをタップする。

(今日はね、すごく色んな事があったんだよ。なんとあの真田幸村に会っちゃったんだから!羨ましいでしょ。しかもめっちゃ似てるし。……………覚醒遺伝?)

『ずりー!今のうちにサイン貰っとけよ』

桜子の隣に写る、幸村によく似た男の顔を画面越しに指先で撫でる。



『桜子』



(会いたいよ、光太郎………………………)



押し殺した泣き声は、夜の静寂の中へ消えていった。




/ 493ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp