第10章 『永劫』
ドクンと心臓が鳴った。
胸に当たる衣越しに、この音は彼に伝わっているだろうか。
これまで何度も契を交わしてきたというのに、飽きる事無く未だ私を熱くさせる
「そ……その前に体洗ってくるよ。汚れてるし……」
あちこちに引き摺り回され挙句に雨風や砂に曝されたのだ。せめて身を清めてから臨みたい……、と幸から退こうとするがガッチリ捕らわれてびくともしない。
「そんなん、いーから」
「だって………」
「汚れてようが関係ねぇ。どんな桜子でも、愛したい」
………ああ
その一言で、全身を巡る熱が溢れ、決壊するーーーーーー
下りていた手が、何かに誘われるように彼の帯へ動き………
貝の口と呼ばれる結び目に指を掛け解いていく。
幸はじっとしている。
緩んだ合わせを開き脱がせていくと、筋骨隆々の肢体が露出し見慣れている筈なのに私の視覚を刺激する。
ぱさ、と静かに着物が落ちた………
瞬間、
両頬を鷲掴まれ唇を吸われる。
「………」
素早い動作に少し驚いたが私は瞼を閉じると、同じく目の前の頬を両手で挟み、舌を深く差し入れた
ーーー私も幸が欲しかった。
欲しくて欲しくて、堪らなかったからーーー
もう、止まらない・・・・・
角度を変え互いの口内を貪り合う。
息をするのも、忘れるくらいに…………。