第10章 『永劫』
「他の人にふらふらして……こんな戦いさせて……本当にごめんなさい……」
昨日は言い訳ばっかりで、ちゃんと謝ってなかった。
なのにそんな私を必要としてくれている。
「いーよ、もう」
幸村は桜子の背に回していた片方の手を濡れた栗色の髪へ滑らせ、わしゃわしゃと掻き回すと額をつついた
「桜子がこうやって俺のところにずっと居てくれるなら、んなもんどーでもいい。……二度と離れたくねぇんだ」
辛い気持ちにさせてしまったのに、全てを許してくれ想いをぶつけてくる幸の首筋に思わず突っ伏した
私も離れたくない。
二度と、離れない。
だって、こんなにも愛おしい
「………私もずっと幸のそばに、居たい」
幸の存在がどれほど大事か改めて実感する。
呼吸によって上下する厚い胸板に身を任せていると心地良いさざ波の調べが耳に届き安らぎを感じた………
すると、急に脇の下をまさぐられる感触に襲われビクンと全身が跳ねた
「ちょっ……!?ちょっと何すん……あはっ、あはははっ」
次から次へと弱点をくすぐってくるので笑いを抑えられずにいると、幸は楽しそうに私を砂上に転がしまさぐり続ける
「お前敏感だからなー。おらおら」
「……やめ、やめてぇぇ〜……ひゃっ!はははは!」
顔面を真っ赤に染め砂を撒き散らし悶える桜子の様子に幸村もぷっ、と吹き出し、
息も絶え絶えに何度も降参を懇願されたのでようやく解放してやった。
「参ったか」
「はぁ……はぁ……参っ、た……なにすんの、いきなり」
「暫くお前の笑った顔見てねぇな、って思ってさ」
「……え」
「ここ最近暗い顔か泣き顔しかしてなかったし……見たかったんだよ、笑った桜子が」