• テキストサイズ

【イケメン戦国】戦国舞花録

第9章 『狂愛』




…………………………



事態が飲み込めず、呆然と見守っていた二人の方へくるりと身体を反転させると「おい」と、桜子を見据えた






「俺を刺すなんてとんでもねぇ女だな、お前は」

ーーーけど、俺を殺せたのに、殺せなかった。
お前はそういう女だ







「そんな奴、もう要らねぇよ。嫁にでもなんでもいっちまえ。そこの男に熨斗付けてくれてやる」

ーーー本当は、今でも恋しい







「お前なんか、大嫌いだ」

ーーー俺、嘘は得意なんだ。

お前にはバレてるかもしれないけど











「こ……たろ……」


桜子が言いかけた時、


渦を巻く暗雲の中心が光太郎の真上を捉えーーー


風圧が増し砂が舞い上がった




………………………





「………お迎えだ」


そう見上げた顔を
ゆるり……と幸村へ向けた





「ーーー桜子を、頼む」


「……言われるまでもねぇ」


「もし不幸にしたら……死ぬ気でここに来る方法を探してまたぶん殴ってやる」


「上等だ」



睨みつけて答える幸村に
ふ、と笑いかけた光太郎は
ワームホールに巻き込まれないようにもっと遠くへ離れろと促し、私達がある程度距離を置いたところに移動したのを見届けた、






刹那






天空から渦を切り裂くかの如く雷が閃きーーーーーー





白い光が彼を、包んだ







「さよなら」







最後に一言発した
澄んだ笑顔は、
憎悪や狂気は消え去り
私が一度は本気で愛した“あの頃の彼”と同じだった






光が姿形を完全に包み込む間際

その目尻に光るものが見えた



/ 493ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp