第9章 『狂愛』
ーーーこの戦場まで来る途中、思い出そうとしていた事がある
「幸っ、後ろ!」
助け舟として佐助が放った棒手裏剣が届く前に、
幸村は無表情で背後の敵を槍で穿った
ーーー俺は、最後あいつになんと言ったのかを
また他方角から数人の敵がまとめて
否応無しにかかってくるが撃破していく
ーーーそうだ……………
唇の上下をきつく結び
周囲を取り巻く最後の装束兵にとどめを刺す
もう顔も見たくない、と。
終わりだ、と。
確かに
そう言ったんだ。
次第に
風向きが変わり、
ざあっと幸村の頬を 掠めた