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【イケメン戦国】戦国舞花録

第9章 『狂愛』




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「おい、逃がすな!」
「そっちへ行ったぞー!!」



荒野と化した戦闘地帯ーーー



逃走を図ろうとする装束の男を足軽達が追跡していく。


頭領が行方をくらませている事実が組織内で露わになり
先のように動揺し逃げ出す者、狼狽える者、なお攻め続ける者が散らばり秩序は完全に失われ混沌としていた



そんな一団の敗北必至は火を見るよりも明らかであり
上杉・武田軍の勝利は目前ーーー
という戦況だった



愉悦に浸り刀を躍らせる謙信の傍で棒型の手裏剣を握り狙いを定めていた佐助は
重々しい響きをたてる上空にハッとした


雲が何かを目指すように次々に流れていく
蛇行しながら次々と…………
この、独特の現象はーーー


「嘘だろ………こんな時に………」














戦場の一角では幸村が交戦していたーーー

万策尽き解体寸前の組織の一部の者達は最後の悪足掻きをするように攻め暴れるが幸村はそれをかわし一層する


ーーー敵方の頭が忽然と消息を絶ったという報せを従者を介して知ったのはつい先刻だ。


いつまでもこの場に出て来ないあの男…………
いつまでも発見されない桜子…………


大方あの男が頭で、桜子を何処かに連れ去ったのだろう、
という結論に至るまでそう時間は掛からなかった


だが……………、












「幸!!」


珍しく冷静さを欠いた佐助が馬で突進し向かってきたので何か新しい情報でも入ったのかと思っていた矢先

息を切らせ叫んだ友の言葉が
俺の心ノ蔵を貫く



「ワームホールが、開く………!!」
















そう


今更なにもかもが、遅過ぎた



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