第9章 『狂愛』
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やがて…………
山道から逸れ森林を抜け、
辿り着いた先ーーー
広大に広がる盆地で戦いの幕が、開けた
黒の装束を身に纏った群れが口笛の合図に反応し、
先制攻撃を開始する
「再び、こやつらと斬り合いが出来るとはな………願ったり叶ったりだ」
嬉々として謙信が先陣を切り、
佐助が追い補佐に回る
「謙信様、暴走は控えて下さいね」
「………幸、」
刀を抜きつつ
信玄は、幸村の心情を案じていた
…………桜子…………
…………桜子…………
「…………大丈夫です、信玄様」
気持ちを切り替えるように槍をグッと握り締め、
迫り来る漆黒の敵を見据えた
「かかれーーー!」
足軽達も怒声を張り上げ後に続き
敵味方、両者が激突した