第3章 『面影』
「はぁ!?訳分かんねーし!」
一気に赤面する幸村とは対照的に真顔で冷やかす。
なんて分かりやすいのだろう、と思うが、会ったばかりの女性に対してこんな反応をする幸を初めて見た。
さっきだって、呼び方うんぬんで明らかに俺に嫉妬していた。信玄様にも然り。
確かに桜子さんは容姿が良い。どこぞの清純派女優……みたいな。
だが口調や行動がアレだ。この時代の男はああいうタイプの女性を敬遠するのではないだろうか。
幸は面食いではないし……
もしや現代で言う、“ギャップ萌え”の走りか………!?
「………おい。なに無言でジッと見てんだよ」
「ああ、ごめん。ちょっと分析をね。…………まぁ、少しくらいのイジリは許して貰うよ。例の一件で、謙信様から逃げ切るのにどれだけ体力と精神を擦り減らしたか………………」
「…………あっ、悪ぃ、佐助。…………わっ、無表情で首絞めるな!恐いって!」