第9章 『狂愛』
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…………それからだ。今の生活が始まったのは
各地を飛び回っては
盗んで殺して人目を忍んで暮らす。
最初のうちは抵抗し脱走もしたりしたが、
その都度脅され、従うしかなかった。
必要な知識や技術を一から叩き込まれた。
剣術に関しては自信があったし、集団の中でみるみるうちに昇格していった。
………………そんな毎日が続き、当時のお頭から才を見出された俺は右腕として活動していた
そして一年前、
怪我による発熱から完治し覚醒すると、
全ての記憶が、戻っていた
ーーーしかしーーー
「もう、引き返せなかった」
ギリ、と己の肌に爪を立てる
「これしか生きる術が無かったんだ。どんだけ多くの人を殺してもなにも感情が湧かなくなってた。………染み付いてんだよ」
その後例の戦で、
織田軍に追い詰められた頭は自決。
生前の遺言通り、
俺が新しく頭となり大勢の仲間を率いることになった
「ーーー……………」
桜子は絶句していた
壮絶を極めた、彼の三年間
人間性を変えてしまう程のーーー
「でも、こんな生き方とももうすぐオサラバだ」
光太郎はパッと微笑むと、
懐から何枚もの連なった用紙を出した
「佐助君の部屋から盗んできたよ。タイムスリップの資料」
「…………え?」
「これ探る間、あの志乃とかいう女に桜子を見張ってて貰ったんだけどね………見事奪取成功!」
唖然とする私を尻目に
陽気にパラパラとページをめくる。
「は………?城内にまで入ったの………?」
「うん、そう。したらさぁ、予想以上の収穫あってね。危険を冒してまで侵入した甲斐があったわ」