第9章 『狂愛』
「ちなみにここが秘密基地っつーのは本当。そんな陳腐な名称じゃねーけどな。地下深くにあるから叫んでも外界には漏れねぇようになってんだ」
…………………
何故、私はここにこうして居るのか
何故、あなたはそんな出で立ちで他者に命令し“お頭”と敬われているのか
何故………………
「…………志乃も仲間なの?」
意識を失う直前のやり取りを思い返す。
志乃に回された腕が強まっていってーーー
あの兄弟から変な匂いを嗅がされて……………………
知らぬ間にこの場に連れて来られた
……………光太郎が指図したというのか
「仲間じゃねぇ。殺した」
…………………………………………………
「え………?」
「殺したっつーか、殺させた」
バクバクと動機が激しくなり、
悪寒が走る
「な………んで………」
「用済みだったから」
そのしれっと平然とした口ぶりに
鳥肌が、たつ
「………っ、正気なの………っ!?ねぇっ!!志乃は………志乃は私の………っ」
「友達でもなんでもねーだろ、あんな女」
鼻で笑うと桜子の長い髪を一束手に取り
指にくるくると絡ませ弄る
「ペラペラと色々情報提供してくれちゃってさぁ、今回の件でも嬉しそうに協力してたぞ。裏切られてたんだよ、桜子は」
“私、貴女が大嫌いだった”
“私がお慕いしているのは幸村様ただ一人”
志乃の言葉が巡る。
私が悩みなどを打ち明けるといつも熱心に耳を傾けてくれたり、笑い話もし合って楽しかった彼女との友情は幻想だった…………のか……………
「………だからって殺すなんておかしいよ!まともじゃない!!なんで……………?なんで光太郎そんな風になっちゃったの……………!?」
「…………………」
桜子の髪を放すと、
光太郎は幾ばくかの沈黙ののち
話を、
始めた