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【イケメン戦国】戦国舞花録

第9章 『狂愛』



「あんた桜子を手放したんだろ?今更出てくんなよ」

「てめーこそいい加減諦めろよ」




改めて桜子に想いを募らせ
行動に移そうとしていた矢先のこの状況

入る直前、部屋の外から二人の会話が漏れていた
この男はまだ桜子に執着しているようだ

(そしてあいつを攫いに行こうとしている…………しかし佐助を犠牲には出来ねぇ)


「幸!早くしろ!!」

「………………っ」
















刹那ーーー


幸村の背後から電光石火の如く飛び出した閃き。


「!!」


光太郎は、空を切り己を目指してくるそれを仰け反り避けると体勢を崩したが
瞬時に受け身を取り畳に手の平を着いた


相手を狙い一直線に投げ放たれ、
壁に突き刺さった刀ーーー
反動で小刻みに揺れている


「…………溝鼠が」


幸村の影から現れた謙信が低く呟く。

「謙信様!」

佐助は立ち上がり壁に刺さった刀を抜くと、
光太郎に向け構えた



「幸、お前双子だったのか?」
「んな訳ねぇでしょーが」
「冗談だよ。………しかし派手にやってるね」

のそりと廊下から顔を出した信玄は幸村と言葉を交わしているも目線を光太郎から外さず自身の刀の鍔を親指で押し、いつでも抜ける状態を保っていた




「………皆さんお揃いで。おっかねーなー四面楚歌じゃん。面白い展開だったからつい長居し過ぎたなー………はぁ、ここまでか………」

光太郎は長い溜め息を吐くと、
幸村に目をやった

「左腕の傷はとっくに治ってたみたいでなにより。じゃあな」





…………………………………





「てめぇ………まさか」

幸村の瞳が大きく開く



記憶にある忌々しい戦での負傷ーーー






ニタリとした嘲笑と共に
素早い手捌きで煙幕が張られると
部屋中に白い煙が蔓延した


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