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【イケメン戦国】戦国舞花録

第8章 『狡猾』 ※R‐18





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鈍い接触音が、
一帯に木霊する






「…っ!」

振り下ろされた刀を鉤爪で弾き、
短刀を仕向ける

「………」

それを避け
また一手を出す幸村の様相は凄まじく、
憤怒を抑えきれずにいた

「俺、今装備少ないんだよね。だから手加減してよー」

そう言い光太郎は短刀を握りながら帯の下から鎖をしゅる、と取り出し幸村の刀に巻き付け、
その隙に鉤爪を装着した腕を真横に振った


「!」


屈んで避けた幸村は、
鎖が巻かれた自分の刀を相手に向かって突き出す。


「おわっ、あっぶね」


上体を捻って間一髪で難を逃れたはずみで光太郎の手から鎖が離れ、
その勢いで刀からも解かれ地面にボトリと落下した。

すかさず幸村が攻めを繰り出す





激しい攻防ーーー



どちらも一歩も退かず
決着がつかずにいた


(……こいつ戦い慣れてやがる。何者なんだよ…おまけにやたら速ぇ)


幸村は眉を寄せ相手の攻撃を捌きつつ様子を伺っていた


「なぁ、知ってるか?」

光太郎も目の前の相手からの攻撃を防御し続けていたが、
ふいに語り始めた

「どうして桜子があんたに落ちたかーーー」

「あ?」


会話しながらも攻防は止まらずにいる。


「あんたが俺の顔に似てるから。ただそれだけだ」


「……」


「俺が居ない淋しさを外見の似たあんたで満たしてたんだよ、あいつは。あんたの役目はもう終わったよ、ご苦労様」




瞬間、




光太郎の頬を刀が掠めた



「!!」



思わず横に跳び、
離れた場所に着地する


つぅ、と紅いものが流れ小袖の襟に染みていく。







「殺す」

血が付着した刀を構え、
烈火を纏うような物々しい形相の幸村が静かに言葉を発した



「………やってくれるね」

そう光太郎が瞳孔が開いた瞳を光らせ一歩踏み出そうとした



時。



ピクリと耳を僅かに動かす


「………………」


ふ、と
戦闘体勢を止め、
鉤爪を鉄甲の中に戻し
鞘に納めた短刀を脚絆の隙間に隠し入れる




「…………何の真似だ?今更怖気づいた訳じゃねーよな」

その不可解な行動に疑問を抱くも、
幸村は歩を進めた


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