第8章 『狡猾』 ※R‐18
春日山城ーーー
帰還した佐助は自室でワームホールについての資料を広げ研究を再開していた
(……………)
あの戦を皮切りに、
幾度となく現れるワームホールの気配ーーー
戦の後から数ヶ月間は遠方の各所で反応があり、
それが数週間前から近場のあちこちで起こり始めた。
あたかも何かと共にふらふらと移動してるかのようにーーー
「どういう事だ………?」
頭を抱え、
書類に自前のペンで計算式を書きなぐる。
予測不能な前兆。
その為解析結果は毎回後手後手に回ってしまう。
何故いつものように事前に把握できないのか。
何かの力が働いているのだろうか…………。
不本意にタイムスリップさせられた後じゃ手遅れだ。
しかし
従来のワームホール発生前の独特の雲の動き、形状なら熟知している。
もし今回もそれと同じ原理で発生するのであれば
それらしい空の変化にいち早く気付けば
どうにか……………
「……直撃は回避、出来るはず…………なんだけど」
…………
額を押さえ溜め息を付く。
(…………そういえば幸、遅いな…。追加の土産でも買ってんのかな)
ふ、と苦笑し、
続けてペンを走らせた