第8章 『狡猾』 ※R‐18
「いやー、ごめんごめん。俺の桜子が世話になってんだってなぁ」
口から煙を吐き
そう話し始める男に幸村の眉がピクリと動く
「“俺の”?」
「そうそう。俺のー。俺が暫くいない間よっぽど淋しかったみたいでさ、ちっとばかしあんたに浮気しちゃったらしいけどあいつ悪気は無いから許してね?メンタル弱い子だからさぁ。…………あ、横文字わかんねぇか」
ククっ、と皮肉に笑うその様子に
怒りが噴出する
「てめぇ、どういう…」
「なぁなぁ、桜子と何回やった?」
幸村の言葉を遮り
紫煙をくゆらす
「………あぁ?」
「十分堪能したんだろ、そろそろ返せよ。あんたならさぁ、選び放題なんだからあいつじゃなくてもいいっしょ。…………………でもあいつの身体、すげー良かったろ。なんせ俺が教え込んでやったんだから………さ?」
瞬時に幸村の目元が吊り上がり
馬から降りると相手の男を鋭く見据えた
「…………」
刀を手に一歩また一歩と近付いていく。
察した光太郎は咥えていたた煙草をプッと吐き捨て草鞋で踏みにじった。
「んー恐いねぇ。………でもま、そうなるわな」
笑いを浮かべていた唇を一文字に結ぶと、手甲から鉤爪を出した