第8章 『狡猾』 ※R‐18
「はぁ、はぁ…………」
桜子は林の中を抜け、
光太郎の後を追いひた走っていた
(速い…………!)
既に姿は見えなくなりどこをどう行ったのかも見当がつかない。
ましてや幸村が視察からどのようなルートで帰ってくるのかさえも全く分からない。
(どこに、いるの………っ)
闇雲に、走っていた
ーーー光太郎は見る限り武器を持っていない。
いくら剣道の腕が立つとしても
刀がある幸には敵うはず無い。
もし、何かあったらーーー
(止めなきゃ………)
光太郎だけが悪いんじゃない。
私の軽率な行動が
こんな事態を招いたんだ。
止めなきゃ。
そして幸にちゃんと説明しなきゃ。
懸命に走るも下駄では限度があり
桜子は焦燥感に駆られながらも
ひたすら前を進んでいった
(幸……………!)