第8章 『狡猾』 ※R‐18
「………ん………」
唇を軽く一度押し当てると、
僅かに頭を上げ
光太郎は桜子の濡れた瞳を熟視する
「桜子、愛してる………これからはずっと一緒にいよう」
そう囁くと、
再び唇を合わせ隙間から舌をねじ入れた
『愛してる』ーーー
初めて異性から言われたのは十六の頃、相手はこの人だった。
初めて女を捧げたのも、この人だった
初めて本気で好きになったのも、この人だ
様々な“初めて”を光太郎を介して経験した。
「…ふ……っ」
激しく塞がれ苦しいながらも息継ぎをしていると
抵抗せず地に横たわった私の身体に、着物の上から手が這う
「あっ……」
首筋を吸われ、
胸元の合わせをグッと開かれた
…………自分の心臓の音しか聴こえない
脳内にもやもやと霧がかかって
理性が、かすむ
(このまま、私は………)
ああでも
愛してるという言葉をくれた人はもう一人いたはずーーー
「……これ邪魔だから外すぞ」
光太郎が撫でていた桜子の髪に引っ掛かった髪飾りを外し取ると、草花の茂みに放った
パサ、と転がる。
桜子の目が大きく見開く