第8章 『狡猾』 ※R‐18
「うっ………うぅ……」
庭の奥。
生えそびえる木を背にして、
桜子は屋敷からは目につかないように陰でむせび泣いていた
(言い返せなかった…)
きっと、佳世さんは正しい。
私がこんなんじゃ幸に迷惑がかかるんだ。
適当にダラダラ生きてきた私とは背負ってるものが、志が違う。
私、本当にこの時代でやっていけるの?…………
「………うっ……、く……」
(…………どうしたらいいのか…分からな……)
「なぁーに泣いてんだよ」
突如、
頭上から聞こえた声。
見上げると、三日前に別れた人が木の枝に座り歯を見せて笑っていた
「……光太郎?どうして、ここに……」
「んー?」
静かにスト、と着地する
「攫いに、来た」