第8章 『狡猾』 ※R‐18
「これ手製だぞ、すげーだろ」
「あははっ、ちまちま手作りしてんだ?あ、でもね蓮が吸ってるせいで耐性ついたから」
「あー。あいつのヘビースモーカー半端ねぇよな」
「……あれ……知ってたっけ?高校の頃は隠れて吸ってたけど」
「…………。……ああ、…うん」
少し間を置くと、私の巾着を勝手に開けスマホを取り上げニカッと笑った
「そんな事より、見せろよ写真」
「いいよ〜、じゃあ同窓会のやつから……」
懐かしい友人等の動画や写真を二人で見る度に、
思い出話があとからあとから止まらない。
同じ現代人の佐助とも出来ない、
共通の軌跡を辿ったゆえの内輪のエピソードの数々。
ーーー楽しかった。
一緒に過ごしていたあの頃に戻ったようで
二人で幸せだったあの頃に戻ったようで
「はぁ〜みんな元気そうだなぁ!変わってねー」
「でしょー!?大人になってからも阿呆なことばっかしてんだから。………………あっ…ねぇ血、出てるよ!」
桜子は帯の隙間から手拭いを出すと、
血液が滲む光太郎の足の指を覆い押さえた
「木から落ちた時にやっちゃったのかもねー」
「…………………」
止血をするその手元を注視する
「…………もう、大丈夫だ。ほら、次のやつ見せろよ」
「えっ、そ……そう?…うーんと、次のは居酒屋で写したものなんだけどさ、………」
画像を指し嬉しそうに説明する桜子の横で光太郎は
先程垣間見えた、手拭いの隅に描かれた図柄が頭から離れずにいた
ーーーよく知っている図だった。
代々我が家が受け継いできた家紋なのだから。
(六文銭……………!)
「まさかだよな………」
「え?」
「いや、なんでもない」
そう微笑むと、桜子の髪を優しく撫でた