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【イケメン戦国】戦国舞花録

第8章 『狡猾』 ※R‐18




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「ワームホール………ねぇ」

眉間に皺を寄せ、難しい顔をしている。

「非現実的だけど、実際俺自身が体験しちゃってるもんなぁ。あの時の雷と光がその現象だったんだろうな」



ーーー話によれば


三年前、海水浴中に晴れていたはずの空が突如雲に覆われ
強風と豪雨で波が大きく荒れてしまい
沖に流されていた途中、雷に打たれ光に包まれーーー

気が付けばここ、戦国時代にタイムスリップしたということだった



「それにしても桜子までトリップしてくるなんてな。奇跡もいーとこだ」

「ね。びっくり」

くすくすと笑い合う。

「その佐助って奴、マジで凄えよなあ。ノーベル賞も夢じゃねえよ。…………こっちでは何やってる奴なんだ?それにお前、どこで世話になってる………?」


じろじろと私の出で立ちを観察している。
なにせ上等な着物だ。
三年も戦国ライフを送ってきた光太郎のことだから、一般人が着ている安物ではないと見抜いているだろう。


「あ〜…、ちょっとしたお金持ちの家に住まわせて貰ってるんだ。佐助はそこの用心棒……みたいな……」

「……………ふーん……」


(て…適当過ぎたかな……)


上杉家所縁の姫ということは外部に漏らしてはいけない約束だ。

ーーー現代人である光太郎になら打ち明けても問題無いのは分かっていたが、
なんとなく、躊躇してしまった


「あ……そうそう!その佐助が、次のワームホールがいつ起こるか特定したんだよ」

「え……?」

「確実なのは二ヶ月後、本能寺跡で。光太郎、現代に帰れるんだよ!家族も、友達もみーんな喜ぶよ……良かったね!」


当時、みんな泣いてた。
常に輪の中心にいて、大勢から慕われてたから


良かった……
おばさん、どんな顔するかな
きっと嬉し泣きしちゃうよ。


彼が戻った際の周りの反応を想像して頬を綻ばせていると、身体を反転させられ
対面になる形になった


「……お前は?その言い方、まるで俺だけ帰るみたいに聞こえる」


「……………」


「………桜子」


グッと両肩を掴まれる


「一緒に、帰ろう」



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