第2章 邂逅
「あ~、もうダメ」
あれから、人通りが少ない細道をずっと走っていた。
途中、紫に何度も銃撃されるわ、青に精神的ダメージを喰らうわ。
熱のせいでただでさえ辛くて、早く隠れ家に帰りたいのに。まだ半分もある。
まいったな。
それなのにここへきて、完全に薬が切れた。
もう走るのも辛く、歩を緩める。
ここで止まるのは危険だが、仕方がない。
少し休もうと、立ち止まる。
が。
「つーかまえたっ!」
「うっ!?」
後ろからギュッと抱きつかれてしまった。
何で? 足音、聞こえなかったんだけど。
働かない頭で考えるも上手く答えが出ない。
それどころか。
「なに、もうお仕舞い? お兄さん」
「先刻ぶりだな、boy」
囲まれてしまった。しかも青と紫は銃を構えている。
「これは、降参しかない、ですね」
消去法で、今抱き付いているのは黄色だろう。
その彼は私の腕ごとホールドしてくれているので、手のひらを見せて私の意を表する。
「はい、確保ー」
手錠をかけられ、ため息を吐く。
ふとそこで足元を見ると、後ろにいる人物の血色の良さそうな足が見えた。ああ、彼は裸足だったのか。
これは、一本取られた。
裸足で慎重に歩かれると、足音は響かずいくら耳が良い私でも聞き逃してしまう。
今の状況も合わせると、背後を取られるのは当たり前だ。