第4章 取引
「ち、ちょっとぐらい触っても、良いよな」
「お、おそ松兄さん何言ってんの!?」
長男に突っ込むチョロ松兄さん。ただ、シコ松兄さんも鼻から血を出してるから説得力皆無。
「これ……マジでヤバイ」
珍しく一松兄さんが頬を緩める。
僕、一松兄さんのあんな綺麗な笑顔初めてみた。
「ギュッてして良いよね!」
「十四松兄さん、気持ちはわかるけどストップ!」
今にも飛び掛かろうとする十四松兄さんを、渾身の力で押さえ込む。
「い、一応腹周りの武器は……取り出した、と思うけど」
ボソボソと紡ぐカラ松兄さん。真っ赤になりすぎて素が出ちゃってるよ。
てか、兄さんの言葉だと取り出す途中で気付いたみたいだ……おっそいな!!
「なあチョロ松。モニターの電極、付けないとダメだよな?」
おそ松兄さんが、真剣な眼差しでチョロ松兄さんに確認を取る。なんとなくだけど、嫌な予感。
「そ、そりゃ……そうだけど」
どこかのお婿さんよろしく、声が裏返る三男兄さん。赤くなってた顔がさらに色を増して、茹でダコ状態だ。
「なら、俺が」
「いや、おそ松は下心丸見えだ。この俺が」
「いいよ。ぼ、僕がやるから」
「チェリー松に出来んの?」
「ねぇ、僕がやるから教えて!」
もう、兄さん達下心見え見えでわかりやすい。
「あーもう、うるさいな。一番免疫がある僕がやるよ」
僕の一言で、全員の視線が集まり示し合わせたかのように一斉にため息をつく。
「な、なに? 皆してため息なんか吐いて」
「別にぃ? クソトッティとか思ってないけどぉ?」
「いや、醜い争いだと思っ」
「さすがドライモンスター、とか思ってないし」
「さりげなくおれ達を貶してるよね」
「トッティ、あざトッティ!」
ああ、もうやだ。末弟イジりになるとカレイな連帯感を見せる兄さん達ほんとやだ。
早く"道化師"ちゃん起きないかなっ!