第2章 邂逅
朝から熱が出ていため解熱剤を飲んできたのだが、それが切れてきたらしい。
ふらつき、身体が熱い。
動き回った挙句、シャツ一枚なのだから、当たり前か。早く帰らないと、動けなくなる。
足に力を入れ、一歩踏み出そうとした時。
小さな発砲音が鳴り、私の右腕にツーっと何かが這う。
「スリリングな逃避行はそこまでだ。下手に動くと今度はお前のその足を射抜くぞ」
右腕を押さえながらほんの少し首を動かすと、先程会った二人と同じ顔がこちらに銃口を向けていた。
これは、三つ子か。
シャツを確認するまでもなく、そう結論を出す。
あの二人は、あんな肋が折れるような話し方してなかったし。
念のため彼を観察すると、私の結論通り彼は青のシャツを身に着けていた。
「さて、大人しく捕まってもらおうか。beautiful boy」
何、beautiful boyって。美男子ってこと?
初めて会ったよ。銃向けながら褒める人。
変装マスクを被っているから、全然嬉しくないけどね。
「生憎、捕まれと言われて、じっとする馬鹿じゃあないんですよ」
言い終わる前に、身体を動かす。
意表を突くなんて、私にとっては朝飯前。
例え本調子じゃなくても、ね。
フラフラと、後方で響く音を避けながら全速でその場から離れる。