第2章 邂逅
「はい、今回の報酬はビルズの缶詰だよ」
家に入り、虎徹に少しお高いご飯を振る舞う。
ガッツガツと、良い食べっぷり。
お高いことで有名なメーカー、ビルズだからね。味も一級品でないと困る。
そんな虎徹を見守りながら、残る二羽用にパンの耳とガラス玉を窓際近くの小さなテーブルに置いた。
さらにその近くの床にまだ帰宅しない相棒用に虎徹と同じメーカーの物を置く。
「さて、報告書 書かないとね」
と、言っても 終わりました、とメールを打つだけだけど。
手早く送信し、ベッドに雪崩れ込む。
ああ、やっとゆっくり出来る。
首元を引っ掻き、ペリペリと剥がす。ようやく"私"に戻れたことで一気に緩む。
今日は本当に疲れた。執行後、追われることは多々あるけど、あの六つ子――実際に相手したのは三人だが――そこらのマフィアより色々と素晴らしい。
個々の実力、連携、質の悪さ。
どれも一級品だ。
「マズイのに目、付けられたな」
額に手を当てため息を吐く。じわじわと手の甲から熱を感じゆっくりと目を閉じる。
お風呂、入ってないや。汗臭いのに。
そういえば、着替えてない。
右腕も手当てしないと……
その後にでもあの六つ子のこと調べてないと。
でもしんどいや。
あ、虎徹にお礼言ってない。それにお見送りしなきゃ。
……いいや、お礼は今度で。ドアは虎徹だけでも出入り出来るようにしてあるし。
だからもう、いいよね。
睡魔に委ね、私は思考回路の停止ボタンを押すことにした。