第2章 邂逅
『嬢ちゃん、乗るか?』
不安そうな声色で聞く彼。マスク越しでも体調不良を見破るあたり、やはり彼ら動物には勝てない。
「お言葉に甘えて。ちょっとだけお願い」
少しスピードを緩める彼に近付き、跳び乗る。足を折り畳み、頸から前胸部にかけて腕を回す。
『っと。やっぱ人間の割りに軽いな』
「それはどーも。天然タラシの虎徹くん」
貶しながら、私はそっと瞑した。
『嬢ちゃん、そろそろ起きろ』
虎徹のその声でゆっくり目を開け身体を起こす。辺りを見回すと少し先に隠れ家が見えた。
「ごめん。大分寝てたよね」
『まぁ、追っ手が来ねぇから構わねぇけど。早く帰って寝な』
地面に足をつけ虎徹から離れる。
少し寝て正解だったのか、身体がほんの少しだけ軽い。
「ん。クライアントに報告したら寝るよ」
不満気な顔をする彼を伴い玄関へ赴く。