第2章 邂逅
「ま、いいや。そろそろ本題に入ろうか」
「え、そのままじゃかわいそうでしょ」
運転席の緑がヒョコッと顔を出す。
良かった。まともそうな人が一人いた。
「別に死にゃしないだろ。そんなに悪い持病なら、"こっち"に来やしないって」
こちらに笑みを浮かべながら、振り向きもせず緑を抑える。
それだけでこの男の発言力、力量が垣間見られた。恐らくこの赤が、彼らの上司であり、このマフィア集団のボスだ。
まぁ、それがわかったからといって言葉を改めはしないが。
「でも、水、もらえます? 流石にこのままは辛いんですけど」
「なかなか肝座ってるね。敵相手に要求するとか」
左にいる紫が、怪しく微笑む。まぁ、私自身何してんだって思うけど。結構しんどいんだよ。それに。
「今の段階では僕、殺されないみたいなんで。そうですよね」
後半は赤に対しての言葉だ。彼はニカッと笑いペットボトルを一本差し出してきた。
「さっき買ったやつだから心配しなくてもいいよ」
「いけしゃあしゃあと言ってるけど、それ買ってきたの僕だからな!!」
緑が叫んでいる中、一応礼を述べ受けとる。
うまく力が入らず苦戦していると、ピンクが「開けてあげる」と言い、ウインクしながら口を開けてくれた。
この人、ほんとに"こっち"の人かな。
苦笑しながら一口ずつ流し込む。
さして冷えてるわけでもないのに、口に入れた途端心地よく、喉に流してもどこを通っているのかわかる。
結構熱上がってるみたい。もしかして39度行っちゃったかも。