第2章 邂逅
「いやー、初対面なのに強引でごめんね?」
三列シートの一番後ろに乗せられた私に、すぐ前の席に座る赤シャツの男が悪びれもなくそう言う。
ちなみに私は先程の紫と、初めてみるピンクシャツの男に挟まれ完全に退路を断たれた。
黄色は私に話しかけた男の隣に、青は助手席へ座っている。バックミラー越しに運転席が見え、そこには緑のシャツが映っていた。
ここまでは対して珍しくもない。
班分けだのチームカラーを決めているだの、よくあること。
けれど。私を追いかけてきた三人を含め、この場にいる六人全員が同じ顔をしている。
六つ子、か。
その上こいつら全員、喫煙者だ。
こう密集されると鼻が曲がりそう。
「本当に強引、でしたね。それで、僕に何の用ですか?」
熱特有の浅い呼吸を出来るだけ隠しながら牽制する。早くこの場を切り抜けて病院に行くなり薬を飲むなりしないと、危ないかもしれない。
私としては早く答えてほしいところだが、赤はじっとこちらを見つめたまま何やら探っている。
男装していることはバレないとは思うが。
「僕の顔に何か付いてます?」
「どっかケガでもしたの?」
予想外の答えについ間抜けな声が漏れた。
いや、お宅の人らかなり発砲してきたけど。
それで怪我したの? って、メチャクチャだな。
「見る限り、右腕だけみたいだよ」
私の右に座るピンクが何故か代わりに答える。
まあ、他は全部避けたからね。
「んじゃなに? 息苦しそうだけど持病でもあんの? 若いのに大変だねぇ」
「まあ、そんなとこです」
説明するのが面倒になり、適当に話を合わす。
若いって言われたけど、ここにいる全員に当てはまると思うのだけど。
見た感じこの人たち、私とそう変わらないみたいだし