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漂流者案件承ります。〜女主人の細腕宿飯日記〜

第2章  弍〜商談〜


人間、満腹になれば落ち着き自然と気が緩む。
和やかな空気の中、隣の部屋からヨロヨロと出て来る錬金術師。

「げ…言質取ってきたわよおぉぉぉぉぉ…」


その言葉に湧く漂流者と賛美を送る部下。

「マジか!やるなオカマ!」

「おひいさま素敵…」


疲労困ぱいの伯爵をすかさずソファーに座らせ、お茶を入れる恵果

「お疲れ様でした。お茶はいかがですか?」

「ええ…入れて頂戴…甘ぁあいヤツね。」


甘く暖かい香りが広がり、ぬるめのロイヤルミルクティーを一口含んだ伯は目をむく
一気に飲む干すと目の前のタルトを頬張る。飲み込んだ後険しい顔のまま俯き尋ねる。


「…んっ……っぐ…こっこれ……作ったの…誰?」

「は、はい。私ですが…何か御座いましたか?」

勢いよく上半身を起こすと、恵果の肩を掴み力任せに揺さぶる。


「あっあああアンタ名前は!?ドリフターズなんでしょ?!このお菓子とお茶この世界には無いんだから!」

「えっ…ぅあ…ちょ…ま…っ…」


いくら三半規管が人よりも強くはあるが、大柄の異性に振り回されれば目眩は必須だ。
漂流者の二人が止めるより早くにサン・ジェルミの問いに答える声があった。


「筑波恵果…彼女の名前だ、サン・ジェルミ。それから彼女は我々の庇護下にある。…その手を離して貰おうか」

その言葉に冷や汗を流し震えてながらソッと肩から手を離す。

「筑波…恵果…ですって…あの『パーフェクトホスピタリティ』の!?どうしてグ=ビンネンにいんのよ!この娘がいたら…」


いたら?と何処か楽しげなシャイロックをキッと睨め付けるサン・ジェルミ

「内政無双が出来るのにぃぃぃぃぃぃ‼︎」
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