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漂流者案件承ります。〜女主人の細腕宿飯日記〜

第2章  弍〜商談〜


だが大番頭は聞く耳を持たない。

「何故そこまでウチがしなくちゃならない? おたくらが今支払えるモノなんて…」

「平和。それをお前等に輸出してやるわい。それに…戦火がデカイ程、大儲け出来るだろ?」


ニヤリと笑う信長に笑い返すシャイロック。部下を呼び、地図を持って来させる。

「いいだろう。…グ=ビンネンから350オンス北上した所に無人島がある。大きさは南北に5キロ東西に3キロ…ここは昔、魔術師の別荘だったんだ。
魔術師が亡くなった時ウチで買い上げたんだ。平屋の館と荒れた畑と山、確か…湧き水と温泉があったかな…」

「そんな良い物件貸してくれるの?」

「君達は良い宣伝効果があるからね。実は温泉宿にでもしようかと考えてたんだよ。でもなかなか任せれる人物がいなくてね…
けれど見つかったよ。」


ああ、と皆が納得し視線の的になる恵果。地図にある島を指しながら、とんでもない頼み事を言い出した。

「ケイカさんがココを仕切って旅館にして下さい。客層は富裕層で、非日常感が漂う所がいいな…」


無理だ無茶だと抗議しようとすると、信長が鋭い視線を向けながら口を挟んで来た。
それに負けじと与一も参戦する。少々媚びた様にだが…

「何事も適材適所じゃ。最高のもてなしをしてくりゃれよ?女主人よ…」

「僕も恵果さんのご飯がまた食べたい。それにそこなら安心して眠れるしね。」

ここまでの強い推しに勝てる筈も無く、ただただ頷くしかない恵果。歓喜の声が漏れる中、コンセプトから様々な算段を始めている。
その顔の横目で見ながらニヤリと笑う信長。それを少し心配に思う与一。

「ククク…良い顔じゃわい。アレは特上の魔性の女じゃの…」

「良い人だとは思うけど、ウチの大将が…ね…」

その言葉に少し遠い目をする第六天魔王。

「粗相くらいは多めに見てくれるだろうが、…嫁にするって言い出したらどうする?」

壮大に悩み出した答えは、あまりに乱暴だった。

「………会わせてみて考えよっか…」

二人の苦難はまだ続く…。
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