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嫌いだなんて言わないで

第1章 お願い。







最下位って事はないと思う。
ちらりと右側を見る。唯一ボール投げの時に大きく記録を出した男の子。
手を負傷しているみたいだ。気の強そうなツンツンヘアーの男の子にも絡まれていたしなんだか可哀想な子でもある。
でもたぶん

この子が最下位。



とりあえずあとで吸血してもいいか聞こう。


「んじゃパパっと結果発表。

トータルは単純に各種目の評点を合計した数だ。
口頭で説明すんのは時間の無駄なので、一括開示する。

ちなみに除籍はウソな。」


そういってモニターが映し出される。

え、ああ、嘘なんだ…。
無駄に頑張った自分の素直さが憎たらしい。



「「「はーーーーーー!!!!??」」」

「君らの最大限を引き出す合理的虚偽」


小馬鹿にしたような顔が腹立つ。
私だけが騙されて頑張っていた訳じゃなさそうなので
少し安心した。でも腹立つ。

目の前のモニターを眺める。

個性を使える項目が多かったからか6位に食い込む大健闘ぶり。
まあ上位陣に入れただけよしとしよう。

最下位は、やっぱりあの男の子だった。



「緑谷、ばあさんのとこいって治してもらえ
明日からもっと過酷な試練の目白押しだ。」

「あ、先生!私は!?私がやっちゃダメなの?」


怪我をした男の子に保健室利用許可の紙を渡して去ろうとする相澤先生を慌てて引き止める。


「だめだ。緑谷は骨折している。
ばあさんの授業を受けるまでは擦り傷程度だけにしろとよ。」

「ちぇー。」

「お前らー。擦り傷程度でも治して貰いたいやつはさやに頼め。
こいつの個性は吸血することで怪我、病気なんでも吸い出せる。
あとは自分で説明しろ。以上解散。」



相澤先生は特に詳しく説明すること無く去っていった。

なんだ自分で言ってよかったんだ。
とぼーっとその後ろ姿を眺めているとまたもよやドバっとクラスメイトが集まってきた。



「すげー個性じゃん!」

「クラスに回復系がいるってのはいいな!」

「治してみてよ!」


「あわわ!治す?いいよ!血を吸わせてくれるなら!」


「「「………………。」」」



波が引いたように静まる。
問題はそこなのである。イメージするのは吸血鬼。
血を吸われるのに抵抗がない人なんているんだろうか。




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