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嫌いだなんて言わないで

第1章 お願い。







お茶子がグラウンドにつくと男子生徒を含め女子生徒もさや以外は全員揃っていた。

まだ授業は始まっていない様子で皆所々自己紹介をしたり
授業や先生についてぼそぼそと話していた。


「あ、さっきの。あれもう1人はどうした?」

「さやちゃんならまだ時間がかかるからって…」



先程更衣室を去る時に急いだ方がいいと声をかけてくれた女の子だった。
耳からプラグが垂れている。サバサバした口調の子だった。

耳郎響香よろしく。あ、麗日お茶子です。
なんて簡単に自己紹介をしていると、相澤先生がちらりとこちらを見た。



「全員揃ったか?」

「あ、いえさやちゃんがまだ…」

「……なにしてた?」

「えっとなにかスプレーやクリームをいっぱい出してました。
体操服には着替え終わっていたのでその内くるかと…」



はっと気がつくと先生は鬼のような目つきで髪を逆立たせていた。



「あの野郎…何回塗り直すつもりだ…!」


先生はそう言うとあの風貌からは想像かつかないほどの俊敏さで女子更衣室へ走っていった。



そして五分後 -------------

顔に痣をつくったさやが朝と同じように捕縛されながら引き摺られてきた。


「太陽反対!グラウンド反対!全日制反対ぃぃ!!!」


またしても暴れながらよくわからないことを叫んでいるさやを相澤先生はお茶子の隣にぽいっと投げ捨てた。

ずささーっと受け身もとれず転がる。

転がってきたさやに手を貸し、労わるように様子を伺う。


頬に出来た青あざが一大事を想像させるが、さやはしばかれた割には反抗的にふてくされている。



「さやちゃん…一体なにがあったん?」

「日焼け止め塗ってたら、相澤先生が入ってきてグーパン殴られて、捕縛されてずられた。
あいつ、いつかぶん殴る。」


何回塗り直すって相澤先生が言ってたけど日焼け止めやったんやーなんて苦笑いしながら、とりあえずドンマイと言っておく。

相澤先生はやっと始められるとばかりに大きなため息を付いた。
そして生徒達の視線は自然と相澤先生に集まる。




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