第1章 お願い。
クラスメイトがこのしょっぱなの展開に動揺が隠せない中、さやは苛立ちを隠せない様子で顔をうつむかせぶつぶつとつぶやいていた。
「ああ…だから嫌だったんだ…!雄英なんて!
どこもかしこも光に溢れているじゃないか…!
とにかく今はこれをなんとかしなくては…。後から痛い目にあうぞ…。
持ってきておいてよかった…!」
ゴソゴソとカバンの中をあさりだすさや。
何を出すのかと言うかなんでこの子は入学初日から拘束されてきたんだと疑問がつきない女子生徒に、
もうクラスメイトの視線は相澤先生とさやの間を行ったりきたりだ。
そんな事になっているとはつゆ知らずさやはカバンから大きな黒い板を取り出した。
その板は1面が机と席に座っている本人がまるごと隠せるほど大きく、また何枚かの大きさが違う板が重なっているようで
かなりの厚みになっている。取り出したカバンは学校指定の至って普通なスクールバッグである。
((なぜ!?どこから!?))
それをなにやらガシャンガシャンと広げ始め、見事に自分の机と椅子をそれで覆った。
屋根までついている。完全に囲っている。
さやは完成した席をみて至極満足した様子で
「陽の光を集めるのも黒。しかし遮るのもまた黒なり。」
と呟いた。
「あ、あのおー…」
「ん?はいはい。なんでしょう!」
「先生が体操服着てグラウンドでろって…」
自作の鉄壁防御の最終チェックをしていると、可愛いらしい丸顔の女の子が少しビクビクしながら話しかけてきた。
周りを見渡すと皆先生に言われ更衣室に向かい、誰もいなかった。
話を聞いていない様子のさやを置いては行けなかったのだろう。すごくいい子だ。
さやはにこっと笑うとマントについているフードを被り
声をかけてきた女子生徒と女子更衣室に向かう事にした。